また、ミューティング動作中であることが分かるように電源ON直後から 5 秒間LEDを点滅させ、その後点灯します。
電源OFF時のタイミングを図22に示します。
図 22のように電源 OFF を検出し、ポップ音が出る前にヘッドホンをOFF させれば良いわけですが、このタイミング検出は少し難しいです。そこで、図23のように 2 連の電源スイッチ(例えば、トグルスイッチ)を利用し、電源スイッチ ON で「リレーON」、電源スイッチ OFF で「リレーOFF」となるように接続します。
◎フィラメント点灯方法の変更
フィラメントの点灯は並列点灯と直列点灯があり、図 4 に並列点灯を示します。9 ピンはフィラメントのセンターピンでこれを GND に接続し、各真空管のフィラメントを抵抗Rを介して電源に接続します。
フィラメントの定格電圧は 0.7V です。フィラメント専用の0.7V 電源を作るのは面倒ですから、抵抗Rの電圧降下を利用してフィラメント電圧が0.7V となるようにします。フィラメント定格は0.7V/17mAですから、フィラメントの抵抗は0.7V/17mA≒41Ωです。
必要な抵抗 R は①式で求め、3.3V から供給する場合、計算値は152Ωとなりました。E24系列の中から150Ωを用いることになります。
並列点灯の場合、図 24 d)の 経路で電流が流れますから消費電流は34mAです。
図 25 は直列点灯の回路を示します。この場合、ピンはオープン(未接続)とし、片方のフィラメントへは
抵抗 R を介して電源を接続し、もう片方はGNDへ接続します。
このように接続すればフィラメントが直列接続となり、必要な抵抗は②式で求めます。電源を 3.3V とすれ
ば計算値が 111Ωとなりました。これも E24 系列の中から110Ωとします。
直列点灯時の消費電流は17mAです。1次試作では並列接続でしたが、2 次試作ではリレーなどが追加に
なって消費電流が増えます。
外部電源であれば消費電流を気にする必要はありませんが、このヘッドホンアンプは乾電池(単3×6本の9V
)動作が基本なので、2次試作では消費電流が少ない直列点灯に変更します。
◎リレーの選択
リレーを含めたミューティング回路を追加しましたので部品点数が増えて、基板面積も大きくなることが予想されます。特にリレーのコイル定格電流が重要で、リレー駆動電圧が低いほどコイル定格電流が大きくなります。
電源が乾電池の9Vですから、一旦、5Vに変換(定電圧)したものをマイコンとリレーに供給することにします。今回はOMRONのG6K-2P-Y-DC5Vを採用しました。表3のように汎用品のG5V-2よりかなり小型でコイル定格電流が少ないことが分かります。
写真 9 に外観を示します。比較目的でG5V-2、DIP8ピンICを一緒に並べてみました。
◎サイズは以下のように変更しています。
1次試作 45×100
2次試作 50×100
◎アルミシャーシ変更
1次試作では L形とし、フロントパネルに電源スイッチを配置する構造でした。2 次試作ではコの字形とし、リ
アパネルに外部 DC ジャックを実装できる形にしています。
このヘッドホンアンプは乾電池(単3×6 本)内蔵が基本です。2 次試作でリレー等を追加しましたので消費電
流が約 60mA となりました。
電池持続時間を気にしないように外部電源(市販のACアダプタ等)が接続できるようにDC ジャック取付穴を
追加しています。
DCジャックの取付穴径はφ8です。MJ14ROHS 等の 2.1mmジャックを想定しています。また、電源スイッチ
取付穴はミヤマの MS500 シリーズまたはLinkman のトグルスイッチが適合します。
◎2次試作のまとめ
写真 10、11 に外観を示します。電池は輪ゴムを利用して写真 11 のように固定します。
電気的特性は消費電流以外は 1 次試作と同等です。消費電流は用いるオペアンプで異なり、AD8397 を用いた場
合、約 60mA です。フィラメントは温まると点灯します。周囲が明るいと点灯具合が良く分かりません。
電源が ON になっているのが分からないので、ミューティング表示を兼ねた LED を追加したことは正解です。
ポップノイズ対策を目的とした 2 次試作はこれで完了です。