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USB-C 電力供給を始めよう

著者 Bill Giovino
Digi-Keyの北米担当編集者 提供
2018-11-27
マルツ掲載日:2019-02-18

 USB Type-C™の仕様には、USBを介した拡張性の高い電力供給を提供する新しいオプションが導入されていますが、この仕様は複雑で、開発者は安全性やレイアウトの問題に直面します。

 この記事では、USB Type-C(USB-C)レセプタクルソリューションについて紹介し、開発者向けにこれらのUSB-Cレセプタクルコネクタを新しい設計に組み込んでレイアウトし、拡張性の高いUSB電源を外部デバイスに安全に供給する方法を説明します。

USB-Cについて

 元のUSB 1.1規格では、最大電流が500mA/5V(2.5W)に指定され、USB 2.0でも同じ最大値が許可されていました。USB 3.1の仕様では、最大許容電流が900mAに変更されました。これは、すべて一般的に普及している長方形USBコネクタの使用が前提になっています。しかし、USBがユビキタスになると、コネクタの互換性や電力供給機能に関連して、その用途と要求が増えてきました。

 これらの要求に後押しされて、USB Type-C™規格が開発されました。USB-Cは、データ配信の仕様ではなく、小型USBコネクタの新規格です。USBは、これまでコネクタの互換性の問題に悩まされてきました。標準の長方形型USB Type-Aコネクタの挿入は、常にマーフィーの法則に悩まされ続けてきました。つまり、ユーザーが極性コネクタをどのように挿入しても、必ず逆さまになるのです(図1)。正しい方向に挿入しても、コネクタがきっちりはまらず、逆さにしてもう一度入れ直し、それを何度も繰り返すこともあります。

図1:USB 1.1以降、さまざまなタイプのUSBコネクタが開発者とユーザーを悩ませてきました。民生用コンピュータで最も一般的なコネクタは、USB 1.1、2.0、3.0、3.1に使用されるUSB Type-Aコネクタです。(画像提供:Wikipedia)

 大型の極性Type-Aコネクタでは、小型の民生用デバイスに組み込みやすくするため、小型化された極性化キーストーンマイクロおよびミニコネクタタイプが開発されました。これらのコネクタでもType-Aと同様に、開発者やユーザーは方向の問題に悩まされていました。

 新しいUSB-Cコネクタ(図1の右下)は、AndroidスマートフォンやIoTデバイスに使われているUSBマイクロBコネクタよりも、若干大きめです。このコネクタは、コンピュータ(ホスト)とデバイス両方のコネクタを置き換え、複数のケーブルタイプも1つのタイプに置き換えられます。また、USB-Cコネクタは極性化されておらず、優先される方向もないため、コネクタをどのように挿入しても緊密に接続されます。

USB-Cコネクタのピン配列と電力レベル

 USB-Cコネクタは、USB 2.0とUSB 3.1の両方をサポートします。USB 3.1に使用される場合、規格でUSB 2.0との下位互換性のサポートが求められます。これは、新しい設計で推奨される使用法です。ただし、低データレートの設計では、USB-CコネクタをUSB 2.0のみにも使用できます。

図2:USB-C 24ピンレセプタクルは、極性化されておらず、リバーシブルであるため、どのように挿入しても簡単にプラグを接続できます。(画像提供:STMicroelectronics)

 USB-Cコネクタレセプタクルのピン配列を見ると、4本の接地ピン(GND)がコネクタの外側に配置されています(図2)。これによってノイズ耐性が強化され、金属接地コネクタシェルにも簡単に接続できるようになります。標準のUSB 2.0双方向データピンD+およびD-は中央で重複しています。これらのピンは、すべてのUSB-Cデータ送信用途で必須です。USB 3.1には、高速送信データパスと受信データパスがそれぞれあり、受信ピンRX1+およびRX1-と2倍のRX2+およびRX2-が使用されます。USB 3.1送信データパスでも同様に、TX1+およびTX1-と2倍のTX2+とTX2-が使用されます。

 USB-Cコネクタ標準は、DisplayPortとHDMIを含むビデオ送信もサポートします。標準ではこれを代替モードと呼びますが、この記事では扱いません。

 この場合に重要なのは、USB-Cコネクタ規格では、最大供給電流を5Vで3.0A(15Wの電力)と指定していることです。これをさらに進めたのが、USB Power Delivery Standard v2.0です。この規格では、USB 3.1をサポートするUSB-Cコネクタは、最大100Wの電力(5Aで20V)を供給できることが規定されています。この電力は、4本のVBUSピンで供給されます。これにより、USBインターフェースは補助電源から主電源になります。

USB-Cコネクタ設計の実装には注意が必要

 プロジェクトで最大100Wの電力をサポートする場合は、基板のレイアウト手順を慎重に実施して、開発者だけでなくユーザーの安全性も確保する必要があります。ほとんどのプロジェクトでは、それほど大きな電力を供給する必要はありません。たとえば、非常に高電流なスマートフォン充電器でも、定格は3.0A程度です。ただし、ほとんどの商用USB-Cコネクタに共通するスイートスポットは、VBUSピンとGNDピン間で5.0Aです。これは、Amphenol FCIのUSB 3.1 10137062-00021LF Gen 1直角型USB-Cコネクタ(図3)でサポートされています。

図3:Amphenol FCIの10137062-00021LF USB-Cコネクタは直角の上部取り付け短身コネクタで、スルーホール実装または面実装することができます。(画像提供:Amphenol RF)

 このUSB-Cレセプタクルコネクタは最大5Aをサポートし、100Wを供給するには20VのDCが必要です。ただし、ほとんどのプロジェクトでは、25W(5Aで5V)で十分かつ安全です。このUSB-Cコネクタは、5ギガビット/秒(Gbit/s)のUSB 3.1 Gen 1データレートをサポートし、最大電圧定格は100VDCまたはACです。この値では、仕様で規定されている最大電力100Wに従って、最大1Aを供給できます。

 このコネクタは、面実装またはスルーホールアセンブリをサポートし、プリント基板の上に設置されます。ステンレス製コネクタシェルはアルミニウム製よりも耐久性が高く、GNDピンに電気的に接続されます。

 このシェルは、コネクタの各端に2つずつ付いている、プリント基板のスロットに挿入する4つの細長いタブを使用して接地する必要があります。これらのタブは、多めのはんだを使ってPC電源接地平面に必ずはんだづけし、緊密に接続してください。

USB-Cコネクタの信号配線

 USB 3.1高速差動信号は、完全に同じ長さで隣接し合うように慎重に配線する必要があります。EMIを最小限に抑えるために、差動信号のトレースはできるだけ短くしてください。ノイズ耐性を最適化するために、差動信号はプリント基板の内部層に配置します。外部プリント基板層に配線する場合は、差動ペアのトレースをアーストレースで囲んで、信号を他のデータラインから離します。また、EMIを最小限に抑えるために、差動信号は常に接地平面上に配線します。

 USBケーブルの差動インピーダンスに合わせて差動トレースインピーダンスが90Ω±10%になるように設計します。また、各ペアのシングルエンド方式インピーダンスが同じになるように各トレースを配線します。一般的に、この状況では、差動ペアのインピーダンスは、ペアの一方のインピーダンスの2倍になります。つまり、トレースは各シングルエンド方式のインピーダンスが45Ω±10%またはそれに近い値になるように配線する必要があります。

USB-C電力信号を安全に配線する方法

 電力信号の配線は、さらに重要です。5Aの安全な供給を慎重に行い、プロジェクトのケーシングやユーザーに対する不注意な短絡を防ぐ必要があります。5Aはプリント基板の上層または下層で配線できますが、プリント基板のエッジに近すぎないようにしてください。これにより、エンクロージャへの衝撃や破損によって生じるプロジェクトエンクロージャへの偶発的な接続を防ぐことができます。

 5Aを1平方フィートあたり2オンスの厚みがある銅でプリント基板に安全に供給するためには、44.6ミル幅のトレースが必要です。より安全なのは、5Aを内部プリント基板層上で配線して電流を外部のあらゆる影響から保護することです。これには、同じ銅密度で116ミルのトレース幅が必要です(IPC-2221プロファイルに基づく計算)。できる限り、VBUSコネクタピンの近くに多くの銅を配線して電流の損失を防ぎます。

垂直実装型USB-Cコネクタ

 プリント基板面積が限られている場合、USB-Cレセプタクルコネクタを垂直に取り付けることができます。このために、Amphenol FCIはUSB 3.1 10132328-10011LF垂直実装型USB-Cコネクタを提供しています。

図4:Amphenol FCIの垂直実装型USB-Cコネクタは、小さなプリント基板フットプリントを備え、基板の面積を節約することができます。(画像提供:Amphenol RF)

 この垂直実装型USB-Cコネクタは、10Gbit/sのUSB 3.1 Gen 2データ標準をサポートします。また、最大電圧定格100VDCまたはACで100Wの電力供給をサポートし、最大5Aを供給できます。直角型コネクタと同じステンレス製シェル構成になっています。直角型コネクタと同様に、筐体の4つのタブを、適切な量のはんだでプリント基板内のスルーホールに安全に接地してください。

 直角型コネクタと異なり、コネクタの小さい方の端の平面実装のみであるため、VBUS電源端子が信号端子に近づきます。電源端子は信号端子から離して慎重に配線することが必要です。狭いスペースの場合、最も安全なのは、データペアとVBUS電源端子を別のプリント基板層に配置することです。

 電源を上記のレセプタクルコネクタに供給するときに、USBホストとデバイス間の簡単なハンドシェイクプロトコルで、供給する電力量を決定します。USBシンクからソースへの接続を処理するICがあり、プロセスは開発者に透過になります。

 1つの例として、STMicroelectronicsの STUSB1700 USB-Cソースコントローラがあります。このコントローラでは、5VのUSB-Cホストからデバイスへの接続を安全に管理できます。電力供給時に、STUSB1700は電力短絡、プログラムされた制限を超える電力供給、145°Cを超える過熱、不足電圧と過剰電圧状況、逆電流と逆電圧状況を検出し、それらを防ぐことができます。これにより、USB-Cシステムの安全設計が大幅に簡素化され、開発者の負担も軽減します。

図5:この回路のSTUSB1700は3Aの電力を供給し、独立して動作できます。I2Cインターフェースでオプションのマイクロコントローラによって管理する場合は、プルアップ抵抗器R3~R10を追加する必要があります。(画像提供:STMicroelectronics)

 STUSB1700はUSB-Cホストコネクタに使用され、ホストとデバイス間の新しい接続を検出できます。デバイスの電力ニーズを判断し、必要な電流を供給できます。また、デバイスがデジタルオーディオアクセサリであるかどうかも判断して、USB-Cポートを介してデジタルオーディオを供給するようマイクロコントローラに信号をアサートできます。USBデバイスとネゴシエートして、電力をUSBデフォルト(最大900 mA)、USBミディアム(最大1.5A)またはUSB高電流(最大3.0A)のどれにすべきかを判断できます。

結論

 新しいUSB-C標準により、適切に設計されたデバイスに最大100Wの電力を簡単かつ安全に供給できるようになりました。すべてのスマートフォン、デジタルカメラ、コンピュータ、電子アクセサリが、簡単に使える1つのコネクタで規格化されるため、開発者は使用するコネクタのサイズやタイプを気にする必要がなく、将来性のある設計を確保できます。

このページのコンテンツはDigi-Key社より提供されています。
英文でのオリジナルのコンテンツはDigi-Keyサイトでご確認いただけます。
   


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