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ヒューマン・セントリック照明システム(HCL)のための可変白色LEDの制御

著者 Murray Slovick
Digi-Key's North American Editorsのご提供
Digi-Key Publish Date 2017-05-02
マルツオンライン掲載日 2018-07-18

 技術の成熟により、LED照明システムは、単にグレアなしの適切な輝度を提供するだけでは、もはや十分ではなくなりました。周囲の光が人間の生態に与える影響を明らかにする研究では、人間の概日リズム、視力、生産性に影響を与える光源の制御に注目が移っています。

この人間中心の照明(HCL)の中心には、可変白色LEDがあります。しかし、設計技術者がHCLを実装するためには、LEDを薄暗くし、ケルビンの温度設定を検出して変更し、必要な輝度出力を引き渡すことができる回路を開発することが不可欠です。

この記事では、HCLとそのアプリケーションについて説明し、次にInfineon Technologies社のArduino互換XMC1202 RGB LED照明シールドを紹介します。次に、可変白色LEDアプリケーションを使った照明器具のプロトタイプ評価のためのシールド使用方法について説明します。

ライトエフェクト

 HCLは、チューニング可能な高出力LEDとマイクロコントローラを使用して、日中の自然光の変化を再現します。午前中の光の赤色温度は約3000K。正午までには6500Kになるかもしれません。人間の場合、この色温度の変化は、人間の睡眠サイクルにおいて重要な役割を果たすメラトニンを含むいくつかのホルモンの生成に影響します。メラトニンの濃度は、夜間は高く、日中は低くなります。

また、目は明るい情報、特に周囲の青色光の量を集めます。具体的には、眼の本質的に感光性の網膜神経節細胞(ipRGC)は、約480nmの狭い範囲の青色光に対して敏感です。高スペクトルの青色成分を有する光が、人の能力および集中を活性化し、増加させることが研究で示されました。この青色成分が軽くなると体がリラックスし、より生産性の低いモードになりますが、体は穏やかになります。

 過去、白熱電球や蛍光灯を選んだ時点で色温度の選択が固定されていました。従来の3500Kランプを選らんだ場合、3500Kしか供給できません。しかし、LEDは、可視光の広いスペクトルを生成するように設計することができ、人工的に自然光の変化に合わせることができます。これは、照明器具の白色光出力の色温度を調整するために、ドライバ、光エンジン、コントーラブルチャネルを有する、可変白色LEDによって達成可能となりました。

最も基本的な形態では、可変白色LEDは、2つのLEDチャネル、すなわちクールな白色チャネルおよび暖かい白色チャネル(図1)からなります。制御パラメータは、輝度および色温度です。これらは、通常、ディミングスイッチを介して制御され、調光情報は電圧波形に伝達し、電流が供給されます。シンプルではありますが、この手法は、後述するDALIまたはDMXプロトコルに基づく、制御システムの調光分解能または滑らかさを有していない可能性があります。

図1:白色LEDを調整するには、暖白色と冷白色の2つのチャネルが必要です。制御パラメータは、輝度および色温度です。これらは、通常、調光スイッチまたは単純なポテンショメータを使用して制御されます。(画像提供元:インフィニオンテクノロジーズ)

可変色温度での光生成の課題

エンジニアにとって、HCLの設計課題には、固体照明(SSL)の相関色温度(CCT)が電圧の変化によって顕著に変化するという事実が含まれます。ここから、パルス幅変調(PWM)に基づくデジタル調光技術が得られました。これは、パルスサイクルの「オン」部分が指定された順方向電圧でLEDを駆動し、それによってCCTを維持することから広く普及しています。同時に、デューティサイクルを変更することによって、LEDの輝度を増減するように平均電流を変更することができます。

HCLの複雑な要因は、色温度もLEDの効率に依存することであり、暖色LEDと冷白色LEDとの間に効果の相違があることがあります。さらに、色温度の変数は、熱放散、ハウジング、プリント基板設計、ヒートシンクを含む機械設計の違いに追随することができます。

複雑ではありますが、SSLでの技術に不安があるエンジニアは、Infineon XMC1202 RGB LED照明シールドボード(図2)などの開発ツールを使用して簡単にHCLシステムを開発することができます。

図2:InfineonのXMC1202 RGB LEDシールドは、可変白色LED照明器具の設計と評価を簡素化します。(画像提供元:インフィニオンテクノロジーズ)

このシールドは、内蔵の輝度制御ユニット(BCCU)を備えた ARM®Cortex®-MベースのXMC1202 32ビット産業用MCUを使用しています。さまざまなトポロジのスムーズで目に優しい調光と、色混合の評価オプションを提供するように設計されています。また、異なるプロトタイプ用のLED照明エンジンおよびランプのために簡単に構成、組み合わせることが可能です。

LEDに電力を供給するために、シールドはDC / DCバック・トポロジを使用し、定電流で最大3つのLEDチャネルを駆動することができます。さまざまな照明効果で接続されたLEDランプを制御するために、シールドに送信できるI2Cコマンドの10の基本セットがあります。

BCCUは12ビットの精度でカラーコントロールを提供します。直線的な「歩行」によって、色の遷移を即座に、または段階的に行うことができます。LEDチャネル内のリニアウォーカーは、時間の経過と共に、線形に強度を変化させ、さらに構成可能な色遷移時間を提供します。滑らかな色の変化のためには、線形歩行時間はすべてのチャネルで同じでなければならず、線形歩行はすべてのチャネルで同時に開始されなければなりません。

シールドはI2Cプロトコルを介して、スレーブとしてマスタボードと通信します。Arduino Uno R3またはInfineonのXMC1100ブートキットのいずれかをマスタボードとして使用できます。

ArduinoボードとXMC1202のコードを組み合わせることにより、2700K色温度の暖かい白から、5700Kの寒色の白まで、4095の個別ステップでランプを制御できます。また、フリッカーのない高品質の光を0.5%の調光レベルまで、4095の個別ステップで調光することもできます。

このシールドでは、シグマ-デルタ変調器が12ビットの輝度値をビットストリームに変換してパルス密度変調(PDM)信号を形成します。自動線形強度の変化は、人の目に明るさや色の変化を滑らかで自然に見せます。これを達成するために、それぞれのターゲットが同着する所定の持続時間の間、選択されたチャネルが強度を連続的に変化させ、直交(CIE Lab)色空間において直線的な遷移をもたらします。

BCCUの主な機能は、外部LEDドライバのポート・ピンに自動調光信号を供給することです(図3)。

インフィニオンのBCCUは、MCUピンの可用性に応じて最大9個の独立したLEDチャネルを暗くすることができます。3つの調光エンジン(DE)とそれらを互いに接続する接続マトリックスを有しています。(画像提供元:インフィニオンテクノロジーズ)

2つのトリガ信号は、LEDチャンネル(TRIG)でノイズのない測定を行うために必要なアナログ/デジタル変換を始めます。調光信号は、LED電流制御回路(OUT)を直接駆動できるCCU4、CCU8も経路に指定することができます。短絡などの外部緊急事態が発生したとき、トラップ状態が発生します。この情報は、BCCUに直接ルーティングすることができます。TRAPの間、BCCU出力は直ちに所定の安全受動レベルに移行します。アナログコンパレータの出力は、高速制御ループ(IN)用のBCCUチャネルへの非同期ゲーティング信号として使用できます。

利用可能な3つのMOSFETゲート駆動出力のうち2つを使用して、可変白色LEDランプを駆動します(図4)。

図4:Infineonシールドは、バックトポロジDC/DCコンバータを介して可変白色LEDを駆動します。(画像提供元:インフィニオンテクノロジーズ)

インタフェースの選択とプログラミング支援DMX512インターフェイスを使用して、ディマースイッチの代わりに可変白色LEDを制御することができます。DMX512は、一般にステージ照明や演劇効果を制御するために使用されています。DMX512-Aは現在の業界標準であり、ESTA(Entertainment Services and Technology Association)によって維持管理されています。DMX512信号は、512個の独立した強度レベル(チャンネル)のセットで、コンスタントに更新されています。512チャンネルのDMXリンクが1つのユニバースとして定義されています。典型的な演劇用コンソールには、複数のユニバース出力があります。

XMC1202などのXMC1000製品は、DALI(Digital Addressable Lighting Interface)スレーブとしても使用できます。DALIは、調光可能な電子制御のための非独占的な2線双方向インタフェース規格です。柔軟性が高く、リレーを必要とせずに個別にまたは最大16グループのブロードキャストモードで制御できます。スイッチングおよび調光は、制御ラインを介して処理され、ランプの状態などの重要な情報が格納された後コントローラで使用できます。DALIは、単一の2線式インタフェースで最大64個のLEDユニットをアドレス指定できます。

異なる照明システムが異なる調光値で開始されたり、異なるタイプのランプが互いに結合されても、DALIは1つの照明シーンから別の照明シーンへの変更を同期させます。これは、HCLシステムに一貫した照明を提供するために、すべての光源が同時に新しい光値に到達することを意味します。

インフィニオンのXMC MCU用開発プラットフォームであるDAVE™のバージョン4は、標準的な照明通信プロトコルに対応しています。DAVEは、GNU Cコンパイラ、デバッガ、包括的なコードリポジトリ、ハードウェアリソース管理、コード生成プラグインを含む、Eclipseベースの統合開発環境(IDE)です。APP、サンプル、DAVE SDKなど、完全なダウンロードパッケージが提供されています。エンジニアは、DAVEを使用して、BCCUのグローバル、チャネル、および調光エンジンを設定するだけでなく、LEDカラー変更システムと周辺機器のクロックを設定することができます。

HCLの実装

ArduinoシールドとXMC1202は、HCLシステムを実装するための制御ポテンショメータとともに使用できます。このアプリケーションでは、ボードからの5本のラインと3つの利用可能なMOSFETゲート駆動出力のうちの2つを使用し、可変式LEDの簡単かつ費用効果の高い評価を行います。

2つの電位差計が使用されています。1つは輝度を制御し、もう1つは色温度を制御します。これには、2つのアナログ・デジタル・コンバータ(ADC)チャネルP2.10とP2.11(図5)が必要です。これらは以前はI2C通信用に予約されていました(SDAとSCL)。クロストークを防ぐために、SCLピンとSDAピンに接続されたプルアップ抵抗を除去する必要があります。

図5:制御輝度と色温度を実現するためのポテンショメータへのXMC1202接続の図 (画像提供元:インフィニオンテクノロジーズ)

ポテンショメータに接続するには、ボードの右上にある5つのArduinoピンを使用します(図6)。

図6:ポテンショメータは、Arduinoボードの左上の5つのピン(SCL、SDA、5ボルトDC、および2つのグランド)に接続されています。(画像提供元:インフィニオンテクノロジーズ)

まとめ

人のニーズを満たす、光レベルと色を制御するHCLのアプリケーションは、照明と照明器具設計の次の進化のステージにあります。その中心には、可変白色LEDがあります。設計エンジニアがHCLを実装するには、必要な輝度出力を提供しながら、ケルビン温度設定を暗くするだけでなく、検出して変更する回路を開発することが不可欠です。

このページのコンテンツはDigi-Key社より提供されています。
英文でのオリジナルのコンテンツはDigi-Keyサイトでご確認いただけます。
   


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