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MEMSスピーカの利点とは

著者 USound
2019-10-24
マルツ掲載日:2020-01-20


 MEMSを使用したスピーカは、ダイナミック型スピーカやバランスドアーマチュア型スピーカが現在占めている地位に挑む新しい技術です。そこでよく聞かれるのが、MEMSスピーカの何が優れているのかという質問です。この記事では、この質問に答えていこうと思います。

 最初に、一般的な利点をアプリケーション固有の利点から分ける必要があります。

MEMSスピーカの一般的な利点

電子プリント基板とのシームレスな統合
 実際には、スピーカ自体がプリント基板上に組み込まれます。MEMSスピーカはワイヤレスイヤホンやヘッドホン、ウェアラブル機器などの電子装置と容易にプリント基板で統合できます。

図1:MEMSを使用したスピーカがプリント基板上に組み込まれています。(画像提供:USound)

同一プリント基板へのアンプとMEMSスピーカの搭載
 USoundは、アナログおよびデジタルインターフェースを備えたオーディオモジュールを提供しており、これによりオーディオ製品の設計に要する時間は劇的に短くなります。このオーディオモジュールにはプログラム可能フィルタが搭載されており、フィルタを変更してサウンドを容易に微調整することができます。このオーディオモジュールとともに提供されているファームウェアには、数パターンの使用例を予め考慮したフィルタの各種セットが含まれています。


図2
:UsoundはアンプとMEMSスピーカを同一のプリント基板に搭載しています。(画像提供:USound)

低消費電力
 MEMSスピーカはダイナミックスピーカに比べて高い電圧レベルが必要であるにもかかわらず、全般的に消費電力は低くなります。また、本質的に高インピーダンスであるため、駆動電流は小さくなります。

 表1は、3種類の方法により94dB SPL時にIECカプラで測定したMEMSスピーカの駆動電流を示したものです。参照用に、バランスドアーマチュア型(BA)スピーカ(Knowles 26824)とダイナミック型(ED)スピーカ(Samsung HS330)の消費電流も掲載しています。

表1:3種類の方法により94dB SPL時に測定したUSound製MEMSスピーカの駆動電流と、参照用のバランスドアーマチュア型スピーカ(Knowles 26824)およびダイナミック型スピーカ(Samsung HS330)の比較。

 MEMSスピーカは消費電流が小さいため、ワイヤレスイヤホンなどあらゆるワイヤレスオーディオアプリケーションに最適です。

 MEMSスピーカの消費電力は、その容量性負荷の利点を活かしてさらに低減できます。電気的にはコンデンサのように振る舞うため、電力の大部分は無効電力であり、システム内での再利用が可能です。USoundの新しいデジタルパワーアンプは無効電力のかなりの割合を回収できます。

表2:Knowlesのスピーカ、Samsungのヘッドセット、USoundのMEMSスピーカの有効電力および実電力の比率の比較。

アプリケーション固有の利点

 アプリケーション固有の利点については、主に以下の2種類のアプリケーションに分ける必要があります。

耳穴式アプリケーション
 スピーカがイヤホン内に取り付けられていて、耳穴に入れるものです。この種類のアプリケーションの場合、耳はスピーカが発する音だけを受け取り、外部の音はイヤホンのシーリングによって減衰されます。

無響アプリケーション
 スピーカを耳の外に配置するもので、スピーカ自体以外の音源からくる音を耳が受け取れます。

耳穴式アプリケーションの場合の利点

 主な利点はフォームファクタが全体的に小さいことです。このアプリケーションではスピーカ本体の寸法、つまりバック部分やフロント部分の体積を重視しているため、MEMSスピーカを使用することでその体積を最小に保つことができます。図3に、USB-Cイヤホンのリファレンス設計であるMegacliteのイヤチップを示します。

 低消費電力であることに加えてフォームファクタが全体的に小さいことが、ワイヤレスイヤホンのついての最大の利点です。スモールフォームファクタのため大きな電池を使用でき、低消費電力のため電池から流れる電流が小さく、その結果、全体として電池寿命が延びます。

図3:USoundによるUSB-Cイヤホンのリファレンス設計であるMegaclite。(画像提供:USound)

 USoundのシングルドライバMEMSスピーカは大きな帯域幅を有しています。図4は、中国の大手オーディオ企業がUSoundのMEMS使用イヤホンを2つの一流ブランドと比較したテストレポートです。この結果から、シングルMEMSドライバがダイナミック型構成およびマルチドライババランスドアーマチュア型構成と容易に渡り合えるものであることがはっきりと分かります。

 このため、MEMSスピーカはフルワイヤレスイヤホン向けの有力な技術になります。低消費電力、スモールフォームファクタ、最大の実現可能帯域幅の組み合わせは、フルワイヤレス製品のメーカーやエンドユーザーにとって、これまでにない利点になります。

図4:バランスドアーマチュア型(BA)、MEMS型、ダイナミック型の各スピーカの帯域幅比較。(画像提供:USound)

無響アプリケーションの場合の利点

 無響アプリケーションの場合、スモールフォームファクタは全帯域幅アプリケーションには適していません。それにもかかわらず、MEMSスピーカは超音波領域(最大80kHz)の拡張帯域幅を持った高品質ツイーターとしてのユニークな利点を備えています。

 スモールフォームファクタは、あらゆる種類のウェアラブルアプリケーションに適しています。2019年にUSoundは、フルデジタルオーディオのシステムを含むAR/VRグラス用オーディオモジュールの販売を開始しました。このシステムはダイナミック型ウーファとMEMSツイーターを搭載しています。

 シングルドライバシステムに比べて、サウンドが大幅に明瞭になり、サウンドをユーザーの耳周りに集中させるユニークな特長を持つほか、耳から極短い距離でもオーディオ信号のレベルを減衰させてプライバシーを良好に保つことができます。

図5:フルデジタルオーディオシステムを搭載したUSoundのAR/VRグラス用オーディオモジュール。(画像提供:USound)

 MEMSスピーカの薄型フォームファクタを活かしたアプリケーションは他にも、車載用サウンドシステムなど多数あります。USoundのリファレンス設計であるHarpalykeのようなモジュール式アレイは、車の天井に直接取り付けることができ、とかく大きくて重くなりがちなツイーターを車から取り除くことができます。MEMSオーディオシステムは、車内の重量を減らしてスペースを空けるだけでなく、サウンドの質を生き生きとした明るいものにし、優れたリスニング体験を提供します。

図6:MEMSスピーカの薄型フォームファクタは、自動車のインフォテイメントシステムなどのスピーカアレイに理想的です。(画像提供:USound)

まとめ

 MEMSスピーカは新しい技術であり、そのすべての可能性は徐々に明らかになっていくでしょう。すでにこの技術は、ダイナミック型スピーカやバランスドアーマチュア型スピーカと比べても、ユニークな機能と思わず注目してしまう利点を備えています。進歩の速いオーディオ市場において、MEMS技術をいち早く採用した者は、エンドユーザーに強力な利点を提供できます。

 最後になりますが、Digi-Keyが提供するUSound MEMSスピーカとテストボード評価キットを使用すれば、MEMSスピーカの能力に対する感触を直接得てその応用の可能性を探ることができます。



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このページのコンテンツはDigi-Key社より提供されています。
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