ピエゾ素子駆動用PWMアンプモジュール【IFJM-001】登場
◯ピエゾ素子をPWMでドライブするメリット
(1)高効率化
従来、ピエゾ素子駆動にはアナログ・アンプが使われていますが、高電圧出力を得るために、大きく、重く、低効率になりがちという問題がありました。一方、オーディオ用アンプの分野では2000年以降PWMアンプ(D級アンプ)が急速に普及し高効率化が当たり前になりました。
PWMアンプで培われた最先端のスイッチング技術をピエゾ素子駆動に応用すれば、高効率なアンプを実用化できます。
マルツエレックでは、オーディオ用D級アンプの高い技術に定評のあるインフィニオン テクノロジーズ ジャパン株式会社ご協力のもと、新たにピエゾ素子駆動用PWMアンプモジュールを開発致しました。それが【IFJM-001】です。
※こちらのインフィニオン テクノロジーズ ジャパン株式会社のWebサイトに【IFJM-001】の技術的優位性に関する解説を掲載いただいております。
【URL】https://www.infineon.com/cms/jp/product/promopages/piezoamp/
(2)ハイ・インピーダンス負荷に対する高いリニアリティ
インフィニオン社はオーディオ用D級アンプの分野において先進的なPWMアンプの技術を多数開発しています。今回マルツエレックがモジュールとして提供するピエゾ素子駆動用PWMアンプモジュール【IFJM-001】には、インフィニオン社のピエゾ素子ドライブに特化した新技術も採用されています。
【IFJM-001】はピエゾ素子やハイインピーダンス負荷に対して高いリニアリティを持って駆動出来る仕様を実現します。また高い破壊強度も持ち合わせています。
写真 ピエゾ素子駆動用PWMアンプモジュール【IFJM-001】外観
- ピエゾ素子駆動用PWMアンプモジュール【IFJM-001】 主な仕様
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用途 小型高効率電圧増幅器 最大出力 Vo=±60V peak、Io=±250mA typ. THD -80dB以下(ハーフパワー) サイズ 58mm×32mm×12mm 新アーキテクチャ回路搭載、各種保護回路搭載
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(3)想定される用途・市場
ピエゾ素子駆動用PWMアンプモジュール【IFJM-001】の負荷駆動能力は、依然としてアナログ・アンプが主流となっている産業用途のピエゾ素子駆動アンプの分野に、全く新しい高効率&小型のソリューションを提供するものです。
ピエゾドライバをPWM化することにより、アナログ・アンプに比べて消費電力を削減することができます。それによりヒートシンクサイズを小さくできるなど、製品設計の自由度が増します。流体制御やスピーカー駆動時の性能向上はもとより、ピエゾ応用の可能性が広がります。
【IFJM-001】は、ピエゾアクチュエータ、ピエゾスピーカー、ハイ・インピーダンス・スピーカーの駆動といった用途を想定し設計されています。さらにはリニアリティの高いドライブ性能を活かしたアプリケーションの可能性を広げます。
インフィニオン社によるアプリケーション事例
ピエゾ素子駆動用PWMアンプPWMアンプモジュール【IFJM-001】を利用したピエゾウーハーの開発事例をご紹介します。
◯実用化に至っていないピエゾウーハー
ピエゾウーハーとは、ダイナミックスピーカーの磁気回路(マグネット、ボイスコイルなど)の代わりに、ピエゾアクチュエータを駆動源として使用したものです。
写真 左:インフィニオン社のピエゾウーハー試作機 / 右 CES2017 Infineon audio booth でのピエゾ素子駆動用PWMアンプ実動展示の様子
従来、ピエゾ素子は小型ユニット用やホーンスピーカー用など小型薄型に特化したものがほとんどであり、これらは低域を出すには不向きでした。もちろん大型のピエゾアクチュエータを利用すれば低域用スピーカーも実現できるのですが、コスト面で不利であり、何よりも適したアンプが無く、またピエゾ=ツィターという概念もあり実用化には至っていませんでした。
写真 左:小型ピエゾユニット 右:大型フルレンジ・ピエゾ・ユニット
ピエゾスピーカーはこれまで「薄型」であるという構造面が主に注目され、薄型構造が生きる場面でダイナミックスピーカーの置き換えに活用されて来ましたが、コストパフォーマンスにおいて完成度の高いダイナミックスピーカーのシェアを奪うには不十分でした。特に駆動用アンプとしてピエゾ専用のものが必要となるため、広く普及していない現状においては割高になるという問題がありました。
◯ピエゾスピーカーはウーハーに適している
ピエゾ素子は等価的にキャパシタンスであるため、スピーカーに応用した場合、低域になればなるほど消費電力が下がります。特にピエゾを電力を必要とするサブウーハーに応用することによって、アンプ、スピーカーでのコストアップ分を遥かに超える電源部のコストダウンが可能になります。
グラフ 周波数特性
オーディオ帯域において、ピエゾスピーカーのインピーダンスは必ずしもダイナミック型スピーカーより高いとは言えない
ダイナミックスピーカーの場合、必要な音圧を得るにはウーハーに大きな電力を供給しなければならず、効率が悪く、また、アンプの電源も大きな容量が必要にります。つまり、システムでの電力効率を見れば、ダイナミックスピーカーに対してピエゾスピーカーの方が有利と言えます。システムコストは使用する電力にほぼ比例すると考えられます。ピエゾウーハーは、ダイナミック型ウーハーを置き換えるポテンシャルを持つと考えられます。
今回マルツエレックが発売する【IFJM-001】ピエゾ素子駆動用PWMアンプモジュールは、このような従来にないアプリケーション開発の起点となる製品です。