壁に掛けた絵画や写真から音楽が流れてきたら素晴らしいと思いませんか。また、待合室や店舗などで、目立たないところにスピーカーを配置したいと考えたことはありませんか。形にこだわらない自由な大きさや形状のスピーカーが欲しいと思ったことはありませんか。 その夢のようなことが、ここでご紹介するピエゾアンプモジュールIFJM-001を使って実現することができます。
■ピエゾアンプモジュール IFJM-001を使用すると薄くて高性能なスピーカーシステムを構築できます。
従来からピエゾ素子の駆動にはアナログアンプが使用されていますが、高電圧の出力を得るためには、大きく、重く、低効率になるという問題がありました。マルツエレックでは、オーディオ用D級アンプに高い技術力を持つインフィニオンテクノロジーズジャパン株式会社のご協力をいただいて、PWM方式(D級アンプ)のピエゾ素子駆動用アンプモジュール IFJM-001を開発しました。ピエゾドライバをPWM化することにより、アナログアンプに比べて消費電力を削減することが可能になり、ヒートシンクを小さくできるなど、製品設計の自由度が増します。
IFJM-001は、ピエゾスピーカーのみならず、ハイインピーダンススピーカーやピエゾアクチュエータの駆動といった用途も想定して設計しています。
■ピエゾスピーカーの音質はダイナミックスピーカーに劣っていません。
従来、ピエゾ素子は小型ユニットやホーンスピーカーなどの小型で薄型にしたものがほとんどで、これらは低域を出すには不向きでした。大型のピエゾアクチュエータを利用すれば低域用スピーカーも実現できますが、コスト面で不利であり、適したアンプがなかったこともあって実用化には至っていません。したがって、低域から高域までの音域を持つ高性能なスピーカーとしては評価されていませんでした。
左側の写真は、小型のピエゾスピーカーユニットです。 右側の写真は、大型のフルレンジスピーカーユニットです。 |
|
■ピエゾスピーカーは消費電力でダイナミックスピーカーより優れています。
ダイナミックスピーカーの場合、必要な音圧を得るにはウーハーに大きな電力を供給しなければならず、効率が悪く、また、アンプの電源も大きな容量が必要になります。システムでの電力効率から見れば、ダイナミックスピーカーよりもピエゾスピーカーの方が有利と言えます。システムコストは使用する電力にほぼ比例すると考えられるので、ピエゾウーハーはダイナミック型ウーハーに置き換えられるポテンシャルを持っていると考えられます。
ピエゾ素子は等価的にキャパシタンスであるため、スピーカーに応用した場合、低域になればなるほど消費電力が下がります。特に、電力を必要とするサブウーハーにピエゾを応用することによって、アンプやスピーカーでのコストアップ分を遥かに超える電源部のコストダウンが可能になります。
ピエゾ素子は等価的にキャパシタンスであるため、スピーカーに応用した場合、低域になればなるほど消費電力が下がります。さらに、オーディオ帯域において、ピエゾスピーカーのインピーダンスは必ずしもダイナミック型スピーカーより高いとは言えません。 |
|
■お客様のニーズに合わせたカスタム化に対応いたします。
ピエゾアンプモジュール IFJM-001の仕様は、セミカスタム化が可能です。負荷となるピエゾ素子や出力信号に合わせて、損失を最小化した仕様を実現します。また、より大きなパワーが必要な場合など特殊な仕様のカスタム化のご相談にも対応いたします。
ピエゾ素子の駆動回路の設計は、ピエゾ素子の仕様がアプリケーションごとに異なるため、一般的なオーディオアンプなどと違い定型的ではありません。そこで、マルツエレックでは、インフィニオン社のご協力をいただいてお客様の製品開発を支援いたします。
■ピエゾアンプモジュール IFJM-001について
●PWMアンプとピエゾ素子ドライブアンプ
21世紀に入り、D級アンプがオーディオ用アンプとして急速に普及し、今では主流と言っても過言ではない状況になっています。D級アンプが普及した理由は、D級アンプがPWMアンプであり、従来のリニア方式のアンプに比べて大幅に効率が向上し、放熱が低下してサイズを小さくすることも可能になったからでした。
これは、電源において高効率化や小型化の要求を受け、リニア方式からスイッチング方式になったのと同じであり、世界的な課題である省エネルギーに対応するため、ドライバも含めたアンプ類も高効率化が必須となっていることを示しています。
しかし、オーディオではPWMアンプが主流になりましたが、産業分野や特殊な用途ではいまだにリニアアンプが主要なアンプとして使われています。その1つの例がピエゾ(圧電)素子ドライブ用のアンプ(ピエゾドライバ)です。当然のことながら、産業用途のピエゾドライバにも高効率化と小型化の要求は高まっており、ピエゾドライブ用の高電圧出力リニアドライバ(アンプ)は効率が低いことに加えて、大きい、重い、高価であることが指摘されています。しかしながら、市場の特性や、既存のPWMアンプでピエゾ素子をドライブする技術的な課題もあり、対応するPWMアンプがほとんどないことからピエゾドライバのPWM化は遅れています。
●
ピエゾ素子の駆動力を高めつつ低消費電力化を図る高電圧低電流ピエゾドライバ ピエゾアンプモジュール IFJM-001は、ピエゾ素子の駆動力を高めつつ低消費電力化を図るために、高電圧低電流ドライブができるピエゾ用アンプとして開発されました。
ピエゾの駆動力を上げるには、一般にピエゾ素子を積層化するか、ドライブ電圧を上げるという方法がありますが、既存のPWMアンプであるオーディオ用D級アンプで対応するにはいくつか課題がありました。
積層化したピエゾ素子は低電圧でのドライブとなり、低電圧オーディオ用D級アンプを使用することになります。この場合、積層化によってピエゾ電流が増加することから、低電圧で高い電流ドライブ能力が要求されるので、低消費電力化は困難になります。ドライブ電圧を高くするアプローチには、高電圧オーディオ用D級アンプを使用できます。しかしながら、現状の高電圧出力アンプは、高電力出力用途のものがほとんどで低消費電力化には適していません。
そこで、高電圧低電流ドライブのピエゾドライブ用PWMアンプモジュールを開発し、低消費電力化とローコスト化を実現しました。
●
高効率とモジュール化のメリット ピエゾアンプモジュール IFJM-001によるピエゾドライバのPWM化は、リニアアンプに比べ大幅に効率が向上し消費電力の削減につながります。また、損失の減少により発熱が低減されることから、ヒートシンクサイズを小さくできるなど、ソリューションサイズの小型化が可能です。リニアアンプを使用した既存のアプリケーションにおいて、同じドライブ(出力)電力で使用する場合はより小型にでき、逆に、既存のサイズのまま、もしくはそれ以下のサイズでドライブ電力の増強が可能になります。
また、PWMアンプのモジュール化は、ユーザーに設計時間の短縮、ピエゾの高電圧ドライブに最適化された性能と安全性の確保、最適な周辺部品や基板レイアウトよる小型サイズを提供します。
PWMアンプはスイッチング技術の応用であり、スイッチング電源がそうであるように設計にはスイッチング回路に関する知識と経験が必要です。このモジュールには、インフィニオンの技術と回路設計のノウハウが凝縮しており、経験に基づく保護回路の搭載も含めるとそのメリットは非常に大きいものです。また、このモジュールの仕様がアプリケーションに合わない場合は、条件によってカスタム対応や開発受託などが可能となっています。
●ピエゾアプリケーションの性能向上と新たな可能性
ピエゾアンプモジュール IFJM-001は、ピエゾアクチュエータやピエゾスピーカーのドライブを念頭に開発されています。現状では、インクジェットプリンタ、ポンプ、フローコントローラなどのピエゾ応用機器、ハンディ拡声器、設置型や天井埋め込み型のピエゾスピーカーやハイインピーダンススピーカーなどのアプリケーションがあります。
また、リニアリティの高いドライブが可能になっていることから、ピエゾアクチュエータを使ったアプリケーションやピエゾスピーカードライブ時の性能が上がるだけでなく、ピエゾアプリケーションの新たな可能性が広がることが考えられます。
■アプリケーション例
・オーディオ用ピエゾスピーカー
・操作パネルのハプティクス(触感フィードバック)
・インクジェット、バルブコントロールなどのピエゾアクチュエータ
・ドリルや溶接機などの超音波モータ
■ピエゾアンプモジュール IFJM-001の仕様
・ピエゾ素子やハイインピーダンス負荷を高いリニアリティで駆動できます。
・最大出力:Vo=±60V(peak)、Io=±250mA(typ)
・全高調波歪み(THD):-80dB(ハーフパワー)
・出力ノイズ:1mVrms以下(帯域幅20kHz以下)
・基板サイズ:58mm×32mm×12mm(取り付け端子部を除く)
■製品関連情報/オンラインサポート
・データシートのご請求先
・インフィニオン テクノロジーズ ジャパン株式会社のWebサイト
・モジュール・カスタマイズに関するお問合わせ