ミリ波5G対応アップ・ダウン・コンバータ MZ-mmCon1
6GHz以下のベースバンド⇔27G~43GHzのI/Q変復調システム
[設計・開発] 株式会社ラジアン  [企画]ZEPエンジニアリング株式会社

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[技術解説記事]5G時代の先進ミリ波ディジタル無線実験室[Vol.1 ミリ波の性質と広帯域通信の実験環境]
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[技術解説記事】5G時代の先進ミリ波ディジタル無線実験室[Vol.2 反射の起らない線路を作る]
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ほか



自動車も医療もゲームも変わる!次世代通信規格“ミリ波5G”

●帯域2.5GHzのスーパー無線ハイウェイ「ミリ波帯」

 自動運転,医療,ゲーム,ロボットなど,あらゆる分野が,大量のデータを短時間で,そして遅延なく届けることができる次世代の無線通信技術に注目しています.さらに「コロナ感染の世界的流行」が,その進行に拍車をかけています.

 5G全体の帯域は2.5GHzと広大です(図1).AMラジオ,FMラジオ,テレビ,携帯電話(LTE),Bluetooth,Wi-Fiなど,日常で使う無線の90%以上が2.5GHz以下を利用していますが,ミリ波5Gは,それらの全てを飲み込んでしまうほど許容量の大きい無線通路といえます.

図1 次世代通信規格“5G”には2.5GHzもの超広帯域バンドが割り当てられている

●自営用の基地局網を構築できる「ローカル5G」に注目

 図1からわかるように,5Gには次の3つの周波数バンドが割り当てられています.

 (1)3.6G~4.1GHz(サブ6GHz帯)
 (2)4.5G~5.0GHz(サブ6GHz帯)
 (3)26.6G~29.5GHz(ミリ波帯)

 5Gには従来の4Gにはない2つの特徴があります.

 1つは,帯域が40MHzから100MHzに広くなったことです.ミリ波帯を利用する5G(ミリ波5G)では,400MHzもの帯域が割り当てられています.これだけの帯域があれば,4K/8K映像の高速撮影映像システムや臨場感あふれるVRシステムを実現できます.

 もう1つ注目すべき特徴があります.NTTやKDDIなどのいわゆるキャリア以外の自営企業が独自に通信回線を構築できるローカル5G用バンド」が割り当てられた点です.現在利用できる周波数バンドは一部ですが,今後,工場や農場などでIT化を進めたい機関や企業の実証実験が増えてくることでしょう.

 

1台でミリ波無線通信を体験できるスタータキット MZ-mmCon1

●100Mbpsを超える超広帯域通信の実験が可能

 図2に示すように,ミリ波通信システムを開発するためには,1,000万円以上もするスペクトラム・アナライザやネットワーク・アナライザ,シンセサイザなどの高価な測定器が必要です.

図2 ミリ波5G通信システムの評価に必要な計測器を取りそろえると,軽く1,000万円を超えてしまう

 写真1に示すのは,ミリ波通信実験用スタータキット ”MZ-mmCon1”(開発:ラジアン)です.すでに試作機が,ミリ波通信の実験用送受信システムに利用されています.

写真1 ミリ波5G対応のアップ・ダウン・コンバータ・キット MZ-mmCon1の試作機(開発:株式会社ラジアン)

 このミリ波通信スタータキットは,27G~43GHzを5M~6GHzのベースバンド信号に周波数ダウンしたり,逆に,5M~6GHzのベースバンド信号を27G~43GHz)に周波数アップしたりできます.パソコンとミリ波用アンテナ,そしてベースバンド信号処理システム(後述)があれば,100Mbps以上の超広帯域無線通信を体験できます.

 図3にブロック図を,図4に27.2G~42.995MHzの範囲でスイープさせて測った送受信の通過特性を示します.

図3 ミリ波通信実験用スタータキット MZ-mmCon1のブロック図(試作機)

図4 ミリ波通信実験用スタータキット MZ-mmCon1の通過特性(試作機の実測値)
27G~43GHzの広帯域にわたって±2.0dB以下に収まっている.製品版では±1.0dB以下に改善される予定

●本キット単体でも送受信OK

 MZ-mmCon1は,A-DコンバータとD-Aコンバータを内蔵するSTM32マイコンを搭載しているため,スタンドアロンでも送受信できます(図5).ただし,ベースバンド信号の帯域は100kHz以下に限られます.


 D-Aコンバータでベースバンド信号(100kHz)を出力し,これをミリ波周波数にアップしてアンテナからRF信号を送信します.この信号を別のアンテナで受信したら周波数ダウンし,A-Dコンバータでベースバンド信号を再生します.

図5 MZ-mmCon1の使い方その① スタンドアロンのミリ波通信実験システム(帯域100kHz)

●16MHz以下のリアルタイム狭帯域通信の実験

 図6に示すのは,帯域100k~16MHzのアナログ信号をフルディジタル信号処理できるSDRトランシーバ MZ-SDRBlockHF2を使ってベースバンド信号の生成と変調を行う接続例です.MZ-SDRBlockHF2は,FPGA,高速A-Dコンバータ,D-Aコンバータを搭載したSDRボードです.

 FPGAには,信号処理に必要な回路ブロックが作り込まれていて,パソコン上の専用アプリケーションでその接続やパラメータを設定するだけで,カスタムなSDR送受信機を構成できます.FPGAコンフィグレーションは不要です.

図6 MZ-mmCon1の使い方その② 32MSPSのFPGA SDRトランシーバ “MZ-SDRBlockHF2”を使ったミリ波通信実験システム(帯域16MHz)

●100MHz超の広帯域通信の実験
 図7に示すのは,100MHz以上の帯域のI/Qベースバンド信号を生成したり復調したりできるECLIPSE Z7(Digilent製)とMZ-mmCon1の組み合わせです.ECLIPSE Z7は,ケース,A-Dコンバータ,D-Aコンバータボード込みで10万円以下です.Linuxも走るARM Dual Cortex-A9を内蔵するZynq-7020を搭載しています.

図7 MZ-mmCon1の使い方その③ デュアルの高速A-D/D-AとFPGAを搭載したECLYPSE Z7を使ったミリ波通信実験システム(帯域100MHz)

●6GSPSの超広帯域通信の実験
 図8に示すのは,サンプリング周波数が6GSPSのA-DコンバータとD-Aコンバータを内蔵するFPGA“RFSoC(ザイリンクス)”を搭載したSDRユニット SIMT6000(ADR Communication製)と組み合わせた例です.

 写真2は,多チャネル同時送受信が必要なローカル5G基地局を想定して,リアルタイム動画を28GHzを使って伝送したときの実験のようすです.

図8 MZ-mmCon1の使い方その④  SIMT6000(ADR Communication製,台湾)使ったミリ波通信実験システム(帯域6GHz)

 

写真2 図8のミリ波SDRシステムを使って動画を伝送しているところ

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